多品目栽培の効率化を支える
ラバータイプディスクハロー

家族経営で7品目を生産する宮崎の生産者を訪ねて

多品目栽培の効率化を支える
ラバータイプディスクハロー

20haで7品目を栽培すると、毎日どこかを耕起している

『霧島酒造』や『雲海酒造』といった酒造会社の芋焼酎の原料となる甘藷。桂祐さんの代になってから栽培面積を倍増させた。「土を大切にするようにしたら、病気にも強くなりました」と桂祐さん。

宮崎県中部に位置する東諸県郡国富町。東は県庁所在地である宮崎市、北は古墳群で知られる西都市に接する。市域の約60%が森林、約20%が農地、人口18,000人程の町だ。江戸時代には、市内を流れる清流・本庄川の水運を活かした物資の集積地であり、幕府直轄の天領であった。「国富」という地名も、当地が豊かであったことを偲ばせる。
 
宮崎県の農作物といえば、マンゴーや日向夏、宮崎牛などが思い浮かぶが、宮崎県中部は施設園芸が盛んで、特にきゅうりは全国有数の産地である。そんな国富町で、家族経営ながらも20haのほ場を管理して、7品目を栽培している生産者がいる。関山桂祐さんだ。
 
関山さんは農業高校を卒業後、奥様の実家に入り後を継いだ。「一般的な農家さんと比べると、ウチは特殊かも知れませんね。原料用甘藷、加工用米、米、千切り大根、たばこ、もち麦、ニラなどを、妻の両親と妻と私という家族経営で栽培しています。栽培する作物の種類が多いため、一年中、何処かのほ場で耕起作業をして、別のほ場では収穫をしている…そんな感じですから、いつも猫の手も借りたいくらい忙しいです」
 
関山さんが育てる農作物は、地域性を色濃く反映している。原料用甘藷というのは、いわゆる「さつまいも」であり、でんぷん粉の原料となることが多いが、関山さんの甘藷は違う。収穫した甘藷は、お義父さんが仲間とともに設立した甘藷の卸を行う法人に納められる。そして『霧島酒造』や『雲海酒造』といった全国的に名が知れた焼酎を醸す酒蔵へ納品され、銘酒へと姿を変えるのだ。
 
「お義父さんは先見の明がある人で、早くから販売ルートを築き上げていました。原料用甘藷は今でもウチの稼ぎ頭の一つになっています。ただ、私が関山家に来た頃は、忙しい割に利益が少ないという状態で…。お義父さん・お義母さんの経験は凄いものがあるし、尊敬もしていますが、何かを変えなければ先は厳しいと感じました」
 
関山さんが就農した当初、特に問題意識を持ったのは作物の病気だ。頻繁に土壌消毒を行っている割には、病気が発生することが多く、それをどうにかしたかった。「そこで、土を大切にする栽培方法に少しずつ変えて行ったのです。具体的には、しっかりと根などの残渣を鋤き込むことと、緑肥の活用です。ウチでは栽培品目が多く、ほ場を休ませる期間は短くなります。これだと、どうしても土への負担が大きくなり、管理も難しい。そこで時間と労力は掛かりますが、収穫を終えたほ場の残渣を丁寧に鋤き込むようにしたのです。例えば、たばこは茎が頑丈ですし、甘藷は蔓(つる)が残りがちですが、これらをしっかりと腐植させることで、病気が出難くなると考えて、実行していきました。その成果か、対策後に鹿児島で甘藷の病気が流行したときも、ウチはまったく被害が出ませんでした」と胸を張る。

時間に追われ大変だった耕起作業を効率化してくれる作業機

この耕起作業に関山さんが使っているのが、三菱農業機械が2020年より発売を開始した、ヒサルラー社の『ラバータイプディスクハロー』。耕起作業をスピーディかつ省燃費で行うことができる、注目の作業機だ。
 
「7月中旬の今は『たばこ』の収穫で忙しい時期ですが、月末には田植えを開始します。そして8月からは甘藷を収穫して、終わったら大根を植えるために耕起する、といった感じで…とにかく忙しい(笑)。収穫や移植は後回しに出来ませんから、その隙間の時間を縫うように耕起するのですが、これまで使っていたロータリでは時間が掛かって大変でした。
収穫を終えたほ場に遅延なく作付けするには、耕起の遅れは許されません。ロータリでは作業速度は速くても2㎞/h。その速度で何度も何度も耕起するのは、正直に言って苦痛でした。少しでも耕起を楽にしてくれる機械がないものかと調べたところ、ディスクハローという作業機は高速で作業できることが分かりました」
 
土づくりにはこだわりたい。しかし人手は不足しており時間は掛けられない…そんな窮地に出会ったのがヒサルラーの『ラバータイプディスクハロー』だった。
 
「今はロータリを2回掛けた後、『ラバータイプディスクハロー』を1回で、耕起は完璧です。これで緑肥や甘藷の蔓、たばこの茎など、なんでも完全に鋤き込むことが出来るようになりました。作業速度は最高15㎞/hですから、耕起作業全体で考えれば作業時間は以前の半分以下になりましたね」
 
奥様の瑠美さんも満面の笑みだ。「前まで夫は耕起に行くのに、お尻がとっても重かったんです(笑)。それが今では『ちょっと行ってくる!』と出掛けて行ったと思ったら、すぐに帰って来ます。多品目栽培ですから、やらねばならない仕事は幾らでもあります。時短できるのは家族にとっても本当にありがたいです。子供達と遊ぶ時間や、家事を手伝ってくれる機会も増えました」
 
以前は頻繁に土壌の消毒を行っても、度々、病気に悩まされていた関山さんだが、この土づくりを大切にする栽培方法を取り入れたところ、今では、土と相談しながら稀に殺虫剤を使う程度で済むようになったという。この労働時間と経費の節約にも、『ラバータイプディスクハロー』が貢献している。
 

収穫期真っ盛りだった、たばこ。時代の流れだろうか、単価は下がり続けているという。「それでもたばこも当地域で長く育てて来た品目ですから、両親が元気な間は続けて行きたいですね」

ご夫妻に話をうかがっていたところ、たばこを満載した軽トラックでご両親が帰宅。ここでも多品種栽培の忙しさを感じる。
 
「収穫した『たばこ』は葉の仕分けをして、来月からウチで乾燥させます。1月に種を撒いて苗を育てて、3月に移植しました。収穫したほ場は、9月になったら今度は大根を作付します。収穫した大根も千切りにして、乾燥させるところまでウチで行います。この地域は『千切り大根』の名産地で、日本一になったこともあるんですよ」
 
この地域では『千切り大根』と呼ばれているのは、いわゆる『切り干し大根』のこと。収穫して千切りにした後は、たばこと同じく、乾燥作業まで自家で行っている。そしてほ場に目を転じれば、収穫したら即、次作のために耕起を行う…これだけの多品目栽培を実現するには、耕起の効率化がいかに重要か、容易に想像できる。
 
『ラバータイプディスクハロー』は作業能率が高く、燃費もいいことがよく言われるメリットだが、関山さんは、それに加えてもう一つのメリットを教えてくれた。
 
「移動時や収納時など作業しない時には、後部のトゥースローラーを跳ね上げてコンパクトになるのも嬉しいですね。他の農家さんも同じでしょうけど、ウチもほ場が彼方此方に分散しています。ですから公道を走行することも多く、安全には気を付けています。『ラバータイプディスクハロー』は作業しないときにはコンパクトに畳めるので、安心して公道走行ができますし、格納スペースも少なくて済みます。私は手に入れた時、嬉しくなってぴったり収納できるように倉庫を建ててしまいましたが(笑)、かなりコンパクトに済ますことができましたよ」
 

儲かる農業の土台を次世代へ継承できれば

関山さんご夫妻は私生活では子宝にも恵まれ、3人の子育てにも追われている。
「子ども達は私のことが大好きで、特に一番上の長男は玩具を選ばせればトラクタやトラック。遊びも農作業ごっこばかりしています。保育園に出掛けるときに近所の方に会うと『今からハロー掛けてくるわ!』と挨拶するんです(笑)。幸いにも農業に少なからず興味を持ってくれていますから、押し付ける気はありませんが、後を継いでくれるかも知れないと、密かに期待しています。そのためにも、私の代で稼げる体制を築き上げておきたい。それには『美味しいね!』と言って貰えるような作物を作ること、それが第一です。今後も土を大切にすることで、こだわりのある美味しい作物を作り続けたい。そして、ゆくゆくは法人化したいと考えています。これからも農地は増えて行くと思いますが、家族経営では限界があります。人を雇用する形にして、ウチだけでなく国富の農業を盛り上げたいです。そうしておけば、息子が大きくなったとき、『やってみるか!』と考えてくれるかも知れませんから」
 
家族経営から法人へと脱皮を目指す関山さんにとって、欠かせない相棒になった『ラバータイプディスクハロー』。これからも忙しく、国富町のほ場を走り回ることだろう。

  • 「ラバータイプディスクハロー」はサイズに応じて3タイプをラインアップしており、80馬力以上のトラクターに対応する。耕耘性能はもちろん、最高15km/hという作業速度、省燃費作業(作業機の駆動にPTOを使用しない)が特徴だ。構造はシンプルで、前方2列にラバーを介してマウント(ディスクが障害物などに当たっても衝撃を吸収する)する花形大径ディスク、後方には優れた粉砕性を発揮するトゥースローラーを搭載している。構造がシンプルだからメンテナンス性も極めて高い。また、走行時や収納時はトゥースローラーを跳ね上げられるのでコンパクトに収められる。
  • テキストなし
  • 『霧島』や『雲海』といった芋焼酎の原料となる甘藷は、桂祐さんの代になってから栽培面積を倍増させた。「土を大切にするようにしたら、病気にも強くなりました」とは桂祐さん。現在の主力品目だ。
  • 収穫期の真っ盛りだった、たばこ。時代の流れだろうか、単価は下がり続けているという。それでも「たばこも当地域で長く育てて来た品目ですから、両親が元気な間は続けて行きたいですね」
  • お話をうかがった関山桂祐さん・瑠美さんご夫妻は中学時代の同級生。宮崎県中部の東諸県郡国富町で、家族経営ながらも20haの圃場で7品目を栽培しており、土を大切にした栽培方法で美味しい作物を生産している。自慢の生産物は近所の道の駅などで販売も。
  • テキストなし

『ラバータイプディスクハロー』はサイズに応じて3タイプをラインアップ。80馬力以上のトラクタに対応する。耕うん性能はもちろん、最高15km/hという作業速度、PTOを使用しないため省燃費で作業できることが特徴だ。構造はシンプルで、前方2列にささり込みの良い花形大径ディスク、後方には優れた粉砕性を発揮するトゥースローラーを搭載している。構造がシンプルなため、メンテナンス性も極めて高い。また、走行時や収納時はトゥースローラーを跳ね上げられるのでコンパクトに収められる。

【取材協力】 関山桂祐さん

ラバータイプディスクハロー 高速で大地を駆ける

畑だけではなく、水田の耕起作業にも使えるディスクハローが上陸。
浅耕、播種床の準備、除草、肥料・堆肥の混和、表層の固い土を破砕、作物残渣・緑肥のすき込みを一度に高速で行え、作業効率の向上に大きく貢献します。従来に比べ、短時間で広い面積を耕起できるので、規模拡大のサポートや人手不足の問題解決にも一役買います。また、PTOを使用しないので、大幅に燃料を節約でき、コスト低減につながります。

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