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ものづくり
鳥取大学創立70周年記念事業を応援する企画

第4回実りの秋を迎えて収穫の様子をレポート

〜刈取り/乾燥/籾摺り/精米〜

2018.11UPTOTTORI UNIVERSITY / YAMANE BREWERY CO., LTD.
MITSUBISHI MAHINDRA AGRICULTURAL MACHINERY CO.,LTD.

大きく成長した強力米と学生さんたちによる刈取り作業をレポートします。

育った強力米の様子

皆で植えた小さな命が元気に育ちました

5 月に学生の皆さんで植えた苗が酷暑を乗り越えて、無事に元気に大きく育ちました。
稲丈が伸びすぎないよう追肥をせずに育てた強力の収量は少なめですが、それでも稲丈はグングンと成長し、大きな稲では稲穂をまっすぐ伸ばすと山口先生の顎の高さに迫る140cmを超える高さになりました。大型の台風や雀の集中攻撃に気をもみましたが、倒れるものもほとんど無く収穫を迎えることができて一安心です。

強力米の大きさ

強力米の稲と一般的な稲の比較

強力米の大きな特徴の1つが稲丈の大きさです。横に寝かせた上の稲が標準的と言われている「日本晴れ」、下が「強力」。大きいものでは 140cmを超える大きさです。また、それぞれの籾を比較すると日本晴れと比べて粒も大きいのがわかります。
写真は右が「日本晴れ」左が「強力」。「強力」の力強さが伝わってきます。

強力を刈るために

背の高い強力のために汎用のコンバインを用意

強力は通常の稲と比べて稲高が高く、自脱型のコンバインでの刈取が難しい場合があるため、今回の刈取にはソバや大豆なども刈取できる小型汎用コンバイン VCH750 を使用しました。
汎用コンバインの中では小型とはいえ、75 馬力を超えるコンバインは学生さんにとってインパクトが大きかったようです。
後日、大学で栽培しているソバや大豆の刈取も VCH750 を使って行う予定です。

刈取り作業

学生の皆さんによる待ちに待った刈取り作業です

この日は天候にも恵まれ、午後から刈取り作業を行いました。
刈取実習を行ったのは紙マルチ田植機で田植えを行った15 人の学生の皆さんです。初めてコンバインに乗る学生さんからは「思ってたより大きい!」「中身はどうなってるの?」といった声も。

真剣な面持ちで刈取り作業を行う学生の皆さん。体験する事で初めてわかる事、感じる事が沢山あったのでは、、、

収穫した籾

種を蒔いた一粒一粒からこんなに沢山の量のお米が生まれました。
今回の収穫量はおよそ1トン。来年の秋にはこのお米から約 3000 リットルの日本酒ができあがる予定です。
学生さんたちは自分たちで刈取った採れたての籾に興味津々。どんな味のお酒ができるのか期待に胸を膨らませながら、収穫の喜びに目を輝かせて強力米の籾を観察していました。関わった大人たちも収穫出来て一安心。貴重な1日になりました。

刈取りをした学生の皆さんの声

STUDENT INTERVIEW 1

実際にやってみると
得るものが違う
いい経験だったと思います

山内 信太(やまうち しんた)さん

ーーコンバインでお米の収穫を行ったことはありますか?
実習で手刈りをしたり、小さな機械を使ったりしたことはありますが、大きな機械に乗っての刈取は人生で初めてです。
今まで授業で大学のコンバインを見たことがあるだけで、農家の人の作業を直接しっかりと見たこともなかったですね。
ーーコンバインの操縦はいかがでしたか?
いろんなスイッチがあって機械がすごい複雑で、初めて見たので難しそうだなって印象はあったんですけど、操作は意外とシンプルでやりやすいなって思いました。ポイントだけ抑えるように指導員の方には習ったのですが、“右端をそろえてまっすぐ進む″という要所だけつかんだら、すごいやりやすかったです。
速度の調整が難しいのかなって思ってたんですけど、レバーで調整ができてやりやすかったです。最初は初めて機械に乗るので、操縦席がどうなってるのかなとか不安がありましたが、隣で指導していただいたのもあって初心者でも落ち着いてできました。
ーー実際に収穫を行ってみた感想を教えてください。
今回はコンバインで作物を収穫させてもらったんですけど、普段学校での授業を聞くのとこういうふうに直接体験するのでは、やっぱり得るものが違うというか。気持ちの面でもモチベーションというか、収穫するところはこういうふうに作業してるんだというのが、今までは話を聞いているだけだったので、実際にやってみて知ることができていい時間だったなって思いました。
ーーこのお米がお酒になります。どんな味になると思いますか?
どんな味になるのか気になりますね。どんな味になるのかはわかりませんが、学生なので直接自分たちの作ったものが市場に出て、実際に商品になる経験ってなかったんですけど、今回は商品化されるということですごいなっていうか、いい経験をさせてもらってるなって思います。
ーー将来はどんな職業に就きたいですか?
将来は食品開発に携わるような仕事をしたいと思っています。

STUDENT INTERVIEW 2

できたお酒は地元の両親に
飲んで欲しいですね

福井 瑛士(ふくい あきと)さん

ーーお米の収穫を行ったことはありますか?
2年前に手作業で刈取をさせてもらったりしました。その時は木を立てて、わらで縛って、干してということをしました。
ーー収穫前の強力米の大きさはどうでしたか?
穂が高かったのもあるし、粒が大きいっていうふうに感じました。酒用だから大きいのかなと。
あと、茎も太い気がしました。やっぱり折れないようになってるんだなって思いました。
ーーコンバインに乗ったことはありますか?
今までは機械を使ったことがなくて、今回初めてこういう機械で刈取をさせてもらいました。今年はコンバイン以外にも田植前の段階から三菱さんから貸していただいて、トラクタや田植機にも乗せてもらえました。
ーーコンバインの操縦はいかがでしたか?
まっすぐ進むコツっていうのは、トラクタとか田植機とかと同じように目印とかあったんですけど、左右の操縦がすごい小さな動作で曲がっちゃうんですよね、そこがちょっと難しかったですね。「ガクッ」ていっちゃいそうになったり、メーターとかスピードとかも気にして、両手で操作するのが難しいなって思いました。
今回は大きい機械だったのでその分操縦するところも多かったり、足元の操作とかもあると思っていたので、最初は不安でしたけどそういう意味では思っていたより簡単でした。あと、巻き込みの危険がないようにとか、刈残しがないように気をつけました。
ーー実際に収穫を行ってみた感想を教えてください。
前回は手作業だったので、機械になってすごい楽になったっていうのが一番の感想です。やっぱり年配の方とかがやった時に低い姿勢で刈り取るのって身体的な疲労があるので、そういう意味でもすごくいいなと思いました。
ーー無農薬栽培を行ってみてどうでしたか?
手入れがすごい大変だったっていうのはありました。でもその分混じり気がないというか、しっかりしたのも育つんだなっていうのを感じました。無農薬栽培はどうしても水田特有の雑草が生えてくるので、実際田んぼに入って手で雑草を取るっていう作業とかもしました。ほかの田んぼで育てたお米も収穫祭とかあるので、食べるときにおいしく食べたいんで、一生懸命頑張りました(笑)
ーーこのお米がお酒になります。どんな味になると思いますか?
日本酒っていうとちょっと苦みとか濁りとかある印象があるのですが、お米特有の甘さがでてくれたら嬉しいなと思います。自分はお酒とかめったに飲まないので、カクテルくらいしか飲まなくて。日本酒もあまりしっかり飲んだことがないので、できたら飲んでみたいですね。
ーー誰か飲んで欲しい人はいますか?
やっぱり両親ですかね。特に父が九州の出身ですごいお酒が好きなんです。
やっぱり福岡から鳥取も遠くてなかなか来られないですし、親に自分が大学で育てたお酒を飲んで欲しいと思います。
ーー将来はどんな職業に就きたいですか?
自分は今後も農業に携わりたいと思っています。
植物って病気が多いじゃないですか。お米も害虫があったり病気とかも多いので、そういうのに強い品種を作った方が収入も増えるし、食糧自給率も上がるから、病気に強い品種へ改良をするのに携わりたいなって思っています。
品種改良していく中で、強力はすごい背が高いんですけど、逆に低くなっちゃったりすることもあるので、ほんとに農家の人に役に立つ新しい品種が作れるように、機械を実際に使っている農家の方とも連携してできたらいいと思います。

STUDENT INTERVIEW 3

最初は不安だったけど
収穫するのは爽快感があって
楽しかったです!

新村 瑠里(しんむら るり)さん

ーーお米の収穫を行ったことはありますか?
実習で手刈りはしたことがありましたが、実家は農家ではないのでコンバインでの稲刈りは今回が初めてでした。
ーー収穫前の強力米の大きさはどうでしたか?
機械に乗ると座る位置が高いのでよくわからなかったですけど、普通の稲と比べてみるとだいぶ大きいなって思います。
ーーコンバインに乗ったことはありますか?
初めてです。特に授業でも自脱コンバインしか見たことがなかったので、今回の機械を見たときに「あれどうやって稲を送ってるんだろ」って疑問を持っていました。上から見ていても稲を機械の中に掻き込んでるけど、「結局どこ行くの?」みたいな。(笑)どこからどう稲を送ってるんだろうっていうのが不思議でした。ちゃんとできてるんだなって思いました。
ーーコンバインの操縦はいかがでしたか?
乗る前はもうすごい難しいだろうなって思ってました。まっすぐ行かなきゃダメなのかなとか。田植機に乗った時、まっすぐ運転するのがすごい難しかったので。でも乗ってみたらレバーがそんなに重くなくて、進みやすかったです。
田植機とは違って少しズレてもどうにかなるっていうのもあって(笑)
実習で今年からずっと色々な農機に乗っているので、横に職員さんが乗ってくれたっていうのもあるんですけど、その中でコンバインはトラクタの次に簡単だなって思いました。最初すごいビビってたんですけど、一周回ってくると楽しくなって、爽快感がありましたね。
ーー実際に収穫を行ってみた感想を教えてください。
楽しかったです。大学に入って農学部じゃないとできないじゃないですか。農家でもないので。
いい経験だったなっていうふうに思いました。農家の親戚と話す時のネタになりそうだなって思います。(笑)
ーーこのお米がお酒になります。どんな味になると思いますか?
日本酒は好きなので、でもくれないんじゃないかなって話はしてました。(笑)
お酒欲しいなって、くれるといいな(笑)みんなで飲めるといいなと思います。他の授業でいろんなお酒を飲み比べる試飲会があって、鳥取の強力も飲んだことがあるんですが、ちょっと辛かったイメージがあります。ただ、強力にもいろんな味があって飲みやすい強力もあって、色々あるなって思いました。自分は軽めのすっきりした味が好きなので、自分も飲めるような味になるといいなって思います。楽しみです。
ーー農業や食の未来についてご意見があれば教えてください。
実習では手作業で除草するんですけど、それが今農薬に頼りっぱなしっていうのをよく聞いてて、農薬使っても草が生えたりするから、機械化できないかなとか思います。田んぼの中の草取りを手押し車でやったりして、私も少し世話をしたんですけど、手押し車もほとんど古くて壊れていたので重かったですね(笑)あれも自動でできないかなって思いました。農業は自然相手だし、全自動は無理かもしれないけど、できるようにならないかなって思います。
お年寄りも多くなってきているので、機械化すると手間が省けて力もかからずに、すぐできていいと思うし、それだけじゃなくて、今から新しい就農者の人も機械だったら「操作を学べばできるかも」っていう自信になるんじゃないかと思います。手作業で全部やってると「これ間引きすぎてないかな」とか、田植の時もそれこそどれくらいの感覚だろうって、初心者の人には困ることが多すぎると思うので機械が助けてくれたら、絶対力になると思います。
あと、育成の仕方を知識の面でアシストしてくれる機械、この品種って調べたら全部わかるようなものがあったらいいなって。日本はお米いっぱい作ってるし、データはいっぱいあるんじゃないかなって思います。
ーー将来はどんな職業に就きたいですか?
就農はしないと思うんですけど、農業方面にもいってみたいなって思っています。
研究室では害虫の研究をしているので、害虫を駆除したり防除したりっていう方面に興味があります。
自然が好きなので、仕事でも自然と働けるところがいいかなと思っています。

乾燥作業

籾を乾燥させ、品質低下を防ぐ

コンバインで収穫した籾はすぐに乾燥機へ運び、乾燥させます。収穫したばかりのお米は水分量が多く(23%前後)そのまま放置するとカビや微生物が発生したり、発酵して籾が熱くなって「ヤケ米」などの品質の低下につながったりして、最後にはお米が腐ってしまいます。
そのため収穫したお米はすぐに乾燥機に搬送し、15%前後まで乾燥させます。急激に乾燥させると割れや砕米が発生して、品質の低下に繋がるので 10時間くらいかけて断続的に温風をあてながら乾燥させます。

籾摺り作業

籾摺り作業を経て、ついに玄米に

乾燥させた籾から籾殻を取り除く作業です。籾摺り作業もお米の品質を左右するので慎重に行います。
お米をできるだけ傷つけずに籾を外せるようにお米の状態を確認しながら割れなどに注意して調整を行います。
籾殻を外すと一般によく知られている玄米という状態になります。

精米作業

精米歩合とお酒のランク

玄米の状態のお米はぬかといわれる層に包まれています。このぬかを除去していく作業を精米といい、玄米から8~9割程度精米された白いお米のことを一般的に白米と呼んでいます。
今回はお酒に使うため、さらにお米に磨きをかけて小さくしていきます。収穫した強力はお米の状態にもよりますが5割程度を目標に精米する予定です。お酒はより磨きをかけて小さくしたものが雑味が少なく高級と言われ、7 割以下を本醸造酒、6 割以下を吟醸酒・特別本醸造酒・純米吟醸酒・特別純米酒、5割以下を大吟醸酒・純米大吟醸酒として分類されています。

SPECIAL INTERVIEW

お酒はお米を削った芯の部分を使う

(有)山根酒造場 代表取締役社長
山根正紀さん

食べるお米は玄米から 9割程度精米した状態で食べますが、お酒は 7割~5割。
大吟醸ともなると4割~3割まで削った芯を使います。
小さく削られたお米できたお酒はその分貴重で美味しいお酒に生まれ変わります。

また、お酒造りではお米の性質や品質が味に大きく影響します。
お酒を醸造する際、お米が発酵して溶けて液体になった部分がお酒になり、残った部分が酒カスになるのですが、溶けていく時に球体のまま溶けた方が雑味がなく美味しいお酒が出来あがるので、お酒に使うお米は割れのないものを使います。お米は割れたところがあるとそこから先に溶けようとする性質があるのですが、割れたところから溶けてしまうと雑味が出てきてしまいます。
そのためお酒に使うお米は乾燥も精米も割れないように丁寧に扱うことが大切です。

私たちはこの記念事業を応援していきます。

次回はお酒づくりの工程学生さんの酒造場見学の様子をご紹介します。

第1回目は記念酒作成プロジェクトの背景にある 繋がりや思いをお伝えします。
第2回目は田んぼの下準備から田植えまでをレポート。学生の皆さんが汗を流しながら行う
お米づくりの様子をお伝えしていきます。
第3回目は稲を守る様子をレポート再生紙が分解されていく様子や、
田んぼの管理の様子をお伝えします。
第4回目は実りの秋を迎えて収穫の様子をレポート

Coming in Spring

第5回目は、こだわりのお酒づくりや 学生さんたちの酒造場見学の様子をご紹介する予定です。

Coming in Autum

第6回目は最終回。こだわりのお酒の出来上がりと今回の企画に携わった人々の反応をご紹介する予定です。
鳥取大学
山根酒造場
紙マルチ田植機で有機米作り! 奥出雲での環境保全型農業